魅力的な国土・都市・地域づくりを評価するグリーンインフラに関する省庁連携基盤
研究開発テーマ
研究開発テーマ1 グリーンインフラ機能の評価手法開発と全国展開

グリーンインフラがもたらす多様な機能は、私たちの暮らし・社会・経済を支えています。それぞれの地域にあるグリーンインフラがどのような機能を提供しているか(サプライ)、地域の人々にどの程度求められているか(ニーズ)、実際にどのくらいグリーンインフラを利用しているか(利用実態)を評価して見える化する手法を開発します。また、グリーンインフラがもたらす多様な機能が、地域の人々のウェルビーイングにどう貢献しているかを評価します。
研究内容
- 多様なグリーンインフラ機能のサプライ・ニーズ・利用実態の評価
- 多元的な主観的ウェルビーイングの評価
- グリーンインフラとウェルビーイングの関係性の評価
研究開発テーマ2 グリーンインフラに関する省庁連携のためのデータ基盤の構築

自然資本をグリーンインフラとして有効活用するためには、期待できる生態系サービスのポテンシャルだけでなく、土地利用計画や規制など、人間社会における制約も考慮する必要があります。本課題は、都市・農業・森林をはじめとする土地利用に関連する各種社会制度情報を収集・一元化し、グリーンインフラ導入を検討する際に検討すべき社会制約の基盤を構築します。構築した基盤はオープンデータとして公開し、これらを活用した研究も推進します。
研究内容
- 土地利用基本計画をはじめとした土地利用に関する各種データの一元化
- 整備データのオープンデータ化および利活用
- 利活用推進ツールの開発
研究開発テーマ3 グリーンインフラの実装に向けた計画・制度の検討

グリーンインフラを直接扱う法律や制度は存在しません。そのため自治体は既存の法制度や関連政策を活用しつつ、グリーンインフラの展開を誘導していく必要があります。そのための政策統合、関連部局連携、法制度活用の方法について、計画立案の前提になるデータの活用方法を含めて考究していきます。そのために、関連法制度の評価、必要な行政支援ツールの開発、計画的展開を担える人材育成のあり方について議論します。
研究内容
- 現行法制度の可能性と限界の評価
- グリーンインフラ整備を実現する行政運営方法
- グリーンインフラ整備を推進する人材育成プログラムの開発
研究開発テーマ4 グリーンインフラ認証制度の検討・実装の検討

グリーンインフラを推進し、美しく安全で活力ある国土・都市・地域づくりのためには、グリーンインフラの質を確保する認証制度が有効です。ここでは、グリーンインフラ認証制度として、自治体全体の取組を認証するグリーンインフラ認証(自治体)と民間企業や自治体等の個別の取組みを認証するグリーンインフラ認証(個別事業)の2つの認証制度の検討を実装目指して進めています。あわせて、生物多様性クレジットなどの自然由来クレジットの分析や日本での活用可能性も検討しています。
研究内容
- 個別事業を対象としたグリーンインフラ認証制度の検討
- 自治体を対象としたグリーンインフラ認証制度の検討
- 生物多様性クレジット等に関する検討
研究開発テーマ5 グリーンインフラの導入・管理技術の開発
【千葉県印旛沼流域】グリーンインフラを生かす流域ガバナンスに向けた研究

他のテーマの成果を活用し、流域スケールでのグリーンインフラ導入のあり方と導入の効果を実践的に明らかにします。印旛沼流域全体のスケールで生態系機能や生物多様性をマップ化、効果的な実践内容をメニュー化することにより、グリーンインフラの計画的な導入を可能にします。また多様な主体の連携を可能にするグリーンインフラ推進母体を構築します。
研究内容
- グリーンインフラのマップとメニューの整備
- 地域でのグリーンインフラ推進体制・資金メカニズムの構築
- 他テーマと連携したグリーンインフラ導入効果の検証
【東京都世田谷区】都市におけるグリーンインフラ形成手法の開発

東京都世田谷区において、都市型のグリーンインフラ導入モデルの研究を行っています。情報基盤としては谷沢川・丸子川流域を対象に、土地利用形態と雨水流出抑制や樹木の炭素吸収量の可視化するグリーンインフラマップの作成をマルチスケールで取り組んでおり、都市におけるグリーンインフラの形成手法と導入効果を明らかにします。こうした研究の成果を現在のグリーンインフラ関連施策・計画・体制をふまえ、世田谷・東京におけるさらなるグリーンインフラ実装推進に活かしていきます。
研究内容
- 流域・街区・敷地スケールにおけるグリーンインフラマップの作成
- 都市における小さなグリーンインフラ実装推進のためのツール開発
【三重県いなべ市】デジタル技術によるグリーンインフラの機能強化とコミュニティ創出

自然豊かな三重県いなべ市において、人の流れの創出を通じたグリーンインフラの保全・活用に取り組んでいます。デジタルツールを活用し、市民参画によるグリーンインフラ拠点の機能の向上を図るとともに、グリーンインフラと訪問者・市民との関係性の可視化・強化を促します。地域の魅力を再発見し、持続可能な自然共生、自然の活用の仕組みづくりを目指すプロジェクトです。
研究内容
- 生物アプリを用いた市民科学による自然環境の評価
- 訪問者や登山者の自然環境行動に関する調査
- グリーンインフラ情報の整備と活用のあり方の検討